世界の人口七十億。
みんなそれぞれストレスを抱えている。
しかし、ストレスは自分がつくっている。
自分でつくっているのだから、
自分の力で消せないことはない。
人間の思考は固まりやすい。
ありもしない壁におびえ、
存在しない重さにたじろぐことがある。
スリランカの川辺で、
小さな木の杭につながれて
おとなしくしている象を見た。
どんな重いものでも軽々と鼻で持ち上げるというのに、
小象のときに鉄杭につながれていた習性から、
動けないと思い込んでいるようであった。
思い込みは、人間を小さくする。
とらわれると人間はマイナス思考に拘束される。
そんな人生はおもしろくない。
夜にくよくよ考え込む癖はよくない。
闇夜にしのび寄る鬼の手口にはめられて、
ろくなことを考えない。
眠くなくても寝ればいい。
二、三日続けて早めに寝ると気分は爽快。
夜は大問題に思えることも
朝になれば、たいしたことではなくなっている。
気持ちが変わらないときは、環境を変えてみればいい。
わたしは疲れたら仕事をポイして山にこもり、
自然のエネルギーを取り入れる。
広い海もいい。
気力はたちまち回復する。
かつて仏弟子たちは瞑想に励んだ。
これは思い込みを離れるためであった。
心自在を得たり───
こだわりの塊が溶け、とらわれから解放され、
惑わされない肚が確立した。
瞑想は大局観と決断力を育ててくれる。
上司のパワハラに悩んでいたある男性が
「仕事を辞めさせられます」
と、恐れていた。
「そんなビクビクしていたら苦しいだろう」
「食べていかれなくなります」
「ビクビク……と、繰り返してごらん」
「ビク、ビク、ビク……クビ、クビ?」
「ほら、クビになった。
言いたいことがあるのだったら言ってみなさい」
後日、彼は上司に気持ちを打ち明けた。
クビどころか穏やかな対応に変わったという。
言いたいことは言えばいい。
言い過ぎたら詫びればいい。
体裁や不安を捨てて裸でぶつかる。
利口ぶっていても何も変わらない。
ありのままが一番楽。
心のバランスを保つのは簡単ではないが、
嵐に肚をくくらねばならないときもある。
嵐を乗り越えてこそ自信もつく。
ありのままというのは強い。
オープンマインドの人間はおもしろい。
バランスを保つ鍵は自分を見失わないこと。
自分を信じれば、心の重心は安定を増す。
「ダメダメ、ぜったい無理!」
その思考が人生をつまらなくする。
だいじょうぶ。
やってみなさい。
きっとうまくいく。
みずすまし38号(平成30年9月3日発行)
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